Q30101
「てんかん発作」と診断を受けたが、薬をくれない。 心配です!
2歳になるビーグルのオスです。5ヶ月ほど前に急にばったりと倒れてツッパリ状態になりました。その一度だけで、それ以後何事も無かったのですが、先週久しぶりにまたひきつけツッパリ状態になったので、すぐに病院にいきました。しかし「てんかん発作」と診断を受けたのですが、お薬を頂けませんでした。
既に2回起こしているので、またすぐ起こるのでないかと心配しています。このまま放っておいても良いのでしょうか?
また、治らないとも言われました。本当に心配しています。先生どうしたら良いのか教えてください。
こんな子は、どうしたらよいのでしょうか?
倉敷市のR.Y.さん
「てんかん」ですか?おそらくビーグル2歳で発生、5ヶ月経って再度起こった「てんかん発作」であるのなら、「真性てんかん」だと考えられます。
残念ながら、かかりつけの病院の先生がおっしゃったように「治らない」と思います。しかし、「コントロール」はできますので、ある程度の安心をもって頂ける事と信じます。
もちろん、ここに説明している内容を、読んでよく理解して頂くことで、あなたのご心配を取り除くことが出来ると期待しております。
解説している内容
- てんかんの治療、実は「コントロール療法」です。
- てんかん発作とは?
- てんかん発作は、三段階
- てんかんの治療薬と緊急処置薬
- てんかん治療の開始条件
- てんかん治療を受ける飼い主さんの心構え
- かた先生からのアドバイス、「ホームドクターを信用しなさい」。
- てんかんの治療、実は「コントロール療法」です。
さて、「この病気の治療」と言うのは、「治療をする」というイメージより、むしろ「コントロールする」と言うイメージ、つまり「根本治療でなく、対処療法をするもの」とご理解ください。
このてんかん発作をコントロールしていけば、かなり普通に近い生活ができますので、そう悲観するすることでもありません。てんかん発作が既に複数回、間隔があって発生しているのなら、それはあたかも「10km先に滝つぼがある川の流れに浮ぶ小船に乗っている」ようなものです。いずれその滝つぼに、のみ込まれてしまう事になるのです。その小船の流されるスピードをそのままにしておけば、1日10m進むと仮定すると二年半ぐらいで滝つぼに到達します。そのスピードを薬を飲むことで1日5mへ、3mへ2mへと、進むスピードを遅くしてやる。これが「コントロール療法」と言う意味なのです。
発作と発作の間隔を長く保ち、発作の回数を少なくする事、また発作が起きても、その症状を軽くする事に主眼が置かれています。決して「発作が起こらない」と言うことではありません。これは、生涯にかかわる長期戦だからです。 - てんかん発作とは?
この「てんかん」は、犬では比較的よく見られる病気の一つでもあります。そもそも身体の動きの中枢である「脳」と身体の動きを機能させる「それぞれの各筋肉」への動きに関する指示連絡は、コンピューターと同じように、電気的信号(刺激)により伝わって行くと考えてください。それを個別に伝える配線が、「神経細胞と神経線維というやつだ」とご理解ください。その配線が電気信号を伝えていくわけですから、当然その一本一本の線の配線には、それぞれに絶縁されて混線しないようになっている。神経線維も同じです。
しかし、それがある時、脳からカミナリのような強烈な電流が放電された場合、その神経線維の絶縁レベルを、はるかに超えた電流が流れ、漏電現象が発生し身体全体の筋肉が硬直するような痙攣をおこしてしまう。このような状態が「てんかん」なのです。犬てんかんでは、かなりの率が先天的要因で発生しています。1歳から5歳ぐらいの間で発生するのが普通で、これを「真性てんかん」と言います。
ちなみの、この「真性てんかん」の初めての発作は、傾向的に春と秋に多いのですよ。あなたのワンちゃんも、ひょっとしてその時期ではなかったでしょうか?
一般的には「てんかん発作」の痙攣(けいれん)状態が続くのは、三分間前後ですが、そのことを始めて経験した飼い主さんには、とっても長く続いているように感じるものです。
(注意)もしあなたの犬の「てんかん発作」発生時に遭遇しても、その発生中は決してその犬の口元に手をやることは危険ですので避けてくださいね。犬には意識が無い筋肉の痙攣ですので、大好きなあなたの手も咬んでしまうことがあります。 - てんかん発作は、三段階
さて、その発作は、軽度な「ふらつき」ぐらいから、意識が無くなり倒れこみ、全身の筋肉が痙攣硬直し、背筋が突っ張り、手足も突っ張るもの、またその手足をばたつかせて、あたかも空中で泳いでいるような動きをすることもあります。そのとき、顔面の筋肉も硬直し、目は見開いていて、ほほの筋肉もつっぱて、口から泡を出していることもあります。ウンコ・オシッコを出してしまうこともあります。
この「てんかん発作」は、突然発生するものですが、慣れてくると余裕で、発作が来るのがわかるようになります。一般的には、次の前・中・後期の三段階に分類できることが分かってきます。-
てんかん前期
犬は不安げに、隠れようとして家具などの間や隅っこに入ろうとします。目や足の痙攣から始まる場合、目を大きく見開いていたり、ソファーから飛び降りたりします。この時間は約一分間以内です。すぐ発作が始まります。
発作期
さまざまな型での痙攣発作があります。 軽い筋肉の痙攣からオシッコ・ウンコの失禁・脱糞、そしてヨダレや泡を流すこともあります。また重度の全身性のツッパリ痙攣まであります。背筋のツッパリ、両手足のツッパリも起こります。天井の一点を見つめていることもあります。
てんかん後期
強い痙攣があった後は、ぐったり疲れているのが一般的です。その時、異常行動や呼吸が速くなったりもしています。一時的に失明状態になっていることもあります。犬本人が最も驚いているので、静かにそっとして落ち着くまで待ちましょう。
- てんかんの治療薬と緊急処置薬
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てんかん治療薬
てんかんの治療(コントロール)を開始すると、あなたのホームドクターは「抗痙攣剤」を週単位で処方します。それは、症状をコントロールするために毎日2~3回飲むお薬です。
緊急処置薬
そしてまた、緊急処置のための「抗不安剤」も、2~3回分程度出して頂けます。それは日々の処置に使うものではなく、夜間や連続発作時等の緊急時に使用するもので、冷蔵庫で保管しておくものです。当然ですが、その使い方についてしっかりと指導を受けてください。
治療開始に当たっての重要な情報とは、その「てんかん発作」の発生自体でなく、どんな症状で発作が起きたのか?そして、その発作と次の発作との間隔がどのくらいあったのか?です。
再度申し上げますが、てんかんの治療と言うのは、てんかんの発生を完全に除去してしまうことを目的としていない。発生頻度(一定期間に発生する回数)とその発作持続時間を少なくすること、発作痙攣の状況を軽くすることを目的としています。ですから、治療の開始は、発作が何回か経験してから投薬開始されるものです。
一年に一回程度やあなたのワンちゃんのように半年に一回程度では、治療開始とはいたしません。だから、先生はお薬を出さなかったのです。 それは、5ヶ月や6ヶ月も発作間隔が空いている状況では、そのお薬が効いていて発作が無いのか、たまたま発作が無かったのか分からないからです。 - てんかん治療の開始条件
次のような場合に、治療が開始されるでしょう。- 発作と発作との間隔が、6週間以内になった場合。
- 発作が連続して発生した場合。
- 一日の内に、2回以上の発作があった場合。
あなたのワンは、まだこの条件に該当していないので、先生は「治療開始宣言をしないのです。その先生は、良心的な先生だと私は思います。 その先生にホームドクターになってもらいなさい。
あなたが今すべきことは、全ての発作が発生した日時・状況と経過時間を、手帳に記載することです。次に起こったときに、その間隔(日数)とひどさの度合い(+~++++)を整理しておいて頂きたい。
てんかんは、発生時以外は、判断のしょうがありません。獣医さんは、発作時には同席していないのです。あなたのワンは、発作の状況を獣医さんに直接話して聞かせることができません。それができるのは、あなただけです。 あなたにとって、それはワンダフルなことではありませんか。 - てんかん治療を受ける飼い主さんの心構え
てんかんの治療を受けるにあたって、下記8項目の心構えが必要です。- その発作は、治療されないと悪くなって行きます。
- うまくコントロールされていても、軽度の発作を起こすことがあります。
- すべての発作が発生した日付と症状と経過時間を記録しておいてください。
- 薬を飲み始めて止めたり、定まった量・回数を与えなかったりすると、てんかんが再発します。
- 薬容量には効果の出始める最低容量、また逆に天井効果というものがあって、それ以上に容量をアップしても、効かなくなる事があります。
- 少量ずつ、数ヶ月かけて適切な容量を決めていきます。
- 薬は一生涯、与えることになります。老化のある段階では、投薬しなくても発生頻度がかなり少なく、弱まることもありました。
- 薬でコントロールできていたのに、また発作が再発してもあきらめないでください。薬の量や複数の薬を組み合わせてコントロールしていきます。
- かた先生からのアドバイス、「ホームドクターを信用しなさい」。
最後に、ホームドクターとの連携が大切です。 ホームドクターを信頼して相談してください。これは、長期戦です。
もし、てんかんのような発作が、食事の前か後に必ず発生している場合や5歳以上で初めて発生するような場合では、別の病気を疑わなければなりません。 あなたの記録が重要です。
また、てんかんの治療コントロールでは、自宅での投薬が基本です。 投薬の方法も上手にマスターしておくことも重要なことです。 あなたのワンちゃんは、あなたしか頼ることができないのです。
最後に、この「てんかん」の対策には、「ホウレンソウ」が重要です。あなたのホームドクターへの「報」告、「連」絡、「相」談が絶対条件です。
それでは、ワンダフルコミュニケーションを!