Q30604
「歯垢・歯石予防、犬猫の歯みがき、どうしたらいいの?」
(パート2 実技編)
パート2 実技編
「大分のイタグレのナポリちゃんからの、御質問にお答えしております」 前回Q30602の続きです。スミマセン、長い話ですので、二回(パート1、理論編 と パートⅡ、実技編)に分けて解説しています。
歯垢・歯石は、口が臭くなる口腔内の病気と言うだけでなく、歯周病から心臓病や腎臓病になる原因のひとつでもある。そのためにシッカリ管理してあげることが、重要ですよ。歯垢を放っておくと歯石になり、歯石を放っておくと歯周病になり、歯周病を放っておくと歯根膿瘍になり、歯根膿瘍を放っておくと頬にアナが開く歯根膿楼になったり、他の臓器にばい菌の巣ができてしまう。
つまり、ビートたけしに言わせると 「奥さん、歯垢・歯石を放っておくと、大変なことになりますよ!」 です。
子犬は、早々と口に手指を入れる事を嫌がらないように、訓練をしておきましょう。成犬で、既にシッカリ歯石が付いている子の場合は、一度「動物病院で超音波スケーリング歯石除去術と、ポリッシング(歯みがき)を受けましょう。そして「歯みがき」をしましょう。
但し、「歯みがき訓練は10週間」かかりますので、歯石除去より先に今回御指導します「歯みがき訓練・10週間」をスタートさせる必要があります。
そして、フードは「歯石予防効果のあるフード」をお勧めいたします。もちろんドライフードです。
以上が、前回「パート1」の内容です。詳しくは、バックナンバーQ30602を開いてみてください。さてここからが、 続き (パートⅡ) の始まりです。
7「歯みがき上手な犬」にする方法:実技指導編 10週間
前回に引き続き解説いたします。 実技指導ですので読んで納得するだけでなく、今日から良い習慣を身につけましょう。
私も青年であった(精神は今も青年)頃、獣医師として海外活動を開始する前に、友人である歯科医師水沼先生に歯の総合チェックを受けました。その時、彼から「この歯を大事にしたかったら毎日朝夕の食後に、歯みがきをしたらエエンヤ!!(水沼先生は大阪弁)と言われました。私はそれ以降、まじめにそのアドバイスを守って、毎朝の食事後と寝る前の歯みがきは実施しています。おかげさまで10年に一度水沼先生に歯の検診を受けますが、いつも「エエ歯や!!」と花マルをもらっています。
そうそう、私の歯の話ではなく、「犬猫の歯みがき」の話でしたよね。あなたも「キットできる!!」 イエス アイ キャン。かた先生の指導なら自信が持てま~す。「毎日の歯みがきが楽しくなる」と言うことは、「人とペットとの良好な関係を継続できる」と言うことなのです。
「犬もおだてりゃ、木に登る!!」と言う言葉があります(そりゃ「豚も・・・」だろ!!)が、猫はおだてなくても木に登ります。つまり、歯みがき上手な犬・猫にするには、少しづつ毎日無理せず、ほめ(おだて)ながら続けることが重要です。
「しつけ」と言う意味から、子犬・子猫のときから始めましょう。もちろん、大きくなってからでも下記の順に従って、ステップを踏んでやっていけば「上手に歯みがきをさせる犬猫」になります。各ステップは、二週間以上かけて進んでください。決して「歯ブラシ」を買ったからと言って、一気にゴシゴシやらないで下さい。動物はビックリしてすぐイヤになります。ステップは5段階、二ヶ月以上かけて進めて行くのです。
*このトレーニングを開始する前には、「お散歩用リード」と「御褒美フード」を必ず手元に準備して置いて下さい。そして、トレーニング終了には、必ず「ご褒美の散歩」をしてやってください。
さて、これからの10週間は「犬猫の歯みがきトレーニングです」。これからの実技指導は、私どもの動物病院グループの「あいら動物病院(鹿児島県姶良町)、院長沼秀昭先生」の御指導をいただきました。沼先生は日本小動物歯科学研究会の会員で、私ども「21世紀動物病院グループ」の歯科口腔科部長です。
下記の順に解説指導いたします。(表現の難しい部分は写真を参考にしてください)
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ステップ1「口さわり、犬猫の歯みがき顔面体操とご褒美」の2週間。
ステップ2「歯にさわる&味を感じさせる」の2週間。
ステップ3「ガーゼにシロップ、歯ブラシにシロップ&優しくタッチ」の2週間。
ステップ4「上下運動の歯みがきに慣らす」の2週間。
ステップ5「歯みがきを内側にも実施する」の2週間。
ステップ1「口さわり、犬猫の歯みがき顔面体操とご褒美」の2週間。
第1週目 ・・・・・・・・・・・・・・
まず、「オスワリ」をさせます。ご褒美フードを1つ与えて、顔を「いい子いい子」と撫でます。今度はあなたも座ります。 もう一度、今度は口の周りを重点的に、いい子いい子で触って下さい。一回が30秒、それを10回繰り返してください(合計5分間)。
それぞれの30秒間が終わったら、必ずご褒美のフードを1個与えるようにしてください。一個ですよ!それを、繰り返す一週間。
第2週目 ・・・・・・・・・・・・・・
基本的には第1週目と同じですが、口の周りを撫で、そのまま唇を上または下にめくる動作をします。初めにサイド上、サイド下、そして頬(口角)をつまんで奥歯を見せる動作。
口の角に指を入れて引っ張って「イ~」とする感じです。最後に、前上、前下に進みます。一回が30秒間ですから、ラジオ体操の掛け声よろしく、イチ、ニー、サン、シイー、ゴー、ロク、シチ、ハチ。ニイー、ニイー、サン、シイー、・・・・。とまぁー、声をかけてやると、ワンもあなたも笑顔で楽しくやれます。
今回も、一回が30秒間、すんだらご褒美のフードを一粒お口に入れてあげましょう。これを10回繰り返しやります。合計で5分間です。これを、犬猫の歯みがき顔面体操」と言って、私共の動物病院グループでは、その普及に努めておりますので読者の皆様方にもチョコットおせ~ておきます。ホームページでは初公開ですので、他の人には絶対に教えてはダメですよ。ナイショでっせ !!
ステップ2「歯にさわる&味を感じさせる」の2週間。
第3週目 ・・・・・・・・・・・・・・
ここまでは、「口の周りや唇、唇の裏側をひっくり返して見る」ということで、決して歯そのものにタッチしませんでした。今日から歯にさわれるのです。いつものように「オスワリ」をさせて、「犬猫の歯みがき顔面体操」を一回したら、1個のご褒美フードをやります。そうして、横の唇を持ち上げヒックリ返したら、親指または人差し指で右上側の犬歯を上下にシコシコ触ります。それを30秒間行います。
<秘訣1>触れる指に味を付ける!!
この時、歯に触れる指にシロップやバター(チューブでバター1/3)、その他、その子の好みの味を付けてさわるのが秘訣1です。
写真の歯みがきセットには、ペーストが付いているのでそれを使用います。味につられてペロペロが出てきたら、もうこっちのものです。初めは犬歯の4本をシコシコさわったら「おしまい」とします。決して他の歯をさわらないで下さい。全体時間は5分間ぐらいです。すんだらご褒美のフードを一個やって、お散歩に行きましょう。
第4週目 ・・・・・・・・・・・・・・
今週の一週間で、全部の歯にタッチできるようになって下さい。まず犬歯、そしてその横の歯にもおいしい味を付けるように、指で触っていきます。
まず正面から右側、上の歯を、そして下の歯列を上下にさすって下さい。右側の上下の歯列が済んだら、左横側の歯列の上下です。最後に、正面前歯上の歯列を、そして下の歯列を上下にさすっていってください。(この場合、前上唇を上げて前歯を露出させるとき、テクニックとして<秘訣2>を参照ください)うまくいったらご褒美を上げてください。
<秘訣2>鼻のアナを塞ぐな!!
前歯を見せる(露出させる)ように、前方の上唇を持ち上げるには、写真5のように手を鼻の上に回して、両サイド前方に持ち上げる(猫にはこの方法が良い)か、中指を鼻の上に置き、人差し指で前上唇を上げるようにする。
ステップ3「ガーゼにシロップ、歯ブラシにシロップ&優しくタッチ」の2週間。
第5週目 ・・・・・・・・・・・・・・
ガーゼまたは包帯を切ったものを指に巻きつけ、それを水またはシロップでぬらします。それを口に入れ、なめさせます。次に犬歯をさわってください。
1日目は、トントンさわりの犬歯4本だけです。まだ決して動かさないで下さい。
2日目に、シコシコさわりの犬歯4本です。
3日目は、犬歯4本のシコシコさわりと、その他の歯のトントンさわりです。
4日目で、初めてガーゼシロップでか~るく全体の歯をシコシコと、但しさ~っとさわってみます。左上の歯列、左下の歯列、右上の歯列、右下歯列、前上歯列、前下歯列の順です。
5日目は、昨日と同じです。ここは動物が本当に「歯みがき」に、慣れてきたかの確認なのです。
6日目&7日目、ここで実際に「歯みがき」ができるようになったのかを確認して下い。軽く、さ~っとではなく、磨いている感覚と圧力でもって、シコシコして回ってください。
(注意)
もし、まだ「歯みがき」に抵抗がある場合には、ここでゆっくり時間をかけましょう。5週目を繰り返してください。
また、この項目は重要です。万一、次のステップがうまく行かないときには、この「ガーゼ歯みがき」を続けることでも、かなりの歯垢・歯石予防効果が期待できます。必ず、マスターしてください。ここでご一緒に、「イエス、ウイキャン」「イエス、ニャン・ワン」「かた21」と言ってください。ナンデ?深く考えないで!!・・・・
30秒×6回=3分間です。一回づつ、済んだらご褒美のフードを一粒与えて、いい子いい子をしてあげることを、忘れないで下さい。まだまだオダテアゲル事が大切です。これを2回繰り返してください。そして、済んだらお散歩に行くことも忘れないで下さい。
第6週目 ・・・・・・・・・・・・・・
やっと歯ブラシです。犬猫専用の歯ブラシ(動物病院にある)を、使用するのが正しいのですが、かた先生流では写真の左から3番目、4番目の、人用赤ちゃん0~2歳用;ハンドルが長く、ブラシヘッドが短く小さいものが良い)を使用しても問題ありません。
歯ブラシにシロップや好みの味を付けて、まず口に入れます。チョッとなめさせてから、向かって右上の犬歯にトントンとタッチします。続いて残り3本の犬歯に、それぞれトントンタッチを行います。要領は先週と同じです。うまくいくようなら、先週と同じように向かって右上側サイドの犬歯から始まって、その歯列全部の歯にトントンタッチを、前方から奥に向かって、ゆっくりと加えていきます。
次に右下の歯列、左上側の歯列、左下歯列、そして最後に前上歯列、前下歯列にトントンタッチをしてください。30秒×6回の2回繰り返しです。済んだらお散歩です。
<秘訣2>鼻のアナを塞ぐな!!
前歯を見せる(露出させる)ように、前方の上唇を持ち上げるには、写真5のように手を鼻の上に回して、両サイド前方に持ち上げる(猫にはこの方法が良い)か、中指を鼻の上に置き、人差し指で前上唇を上げるようにする。
<警告1>鼻の孔を塞ぐな!!
そのまま強く上唇を上げると、犬猫は鼻の孔が閉まって呼吸ができなくなり、そのことを嫌がります。呼吸することが楽なように、鼻孔の開放を保ってあげることが重要です。もし、犬猫が前歯へのアプローチを嫌がるようなら、もう少し後回しにしましょう。
<秘訣3>仰向けにすると、楽にさわらせます!!
また、写真6のように、飼い主さんが床に足を投げ出して座り、犬猫を「ゴロニャンゴロ」と両ももの間に、仰向けに寝かせてから、唇を持ち上げて歯にタッチすると、前歯や奥歯へのアプローチがもっと楽になります。動物の体もより安定します。
ステップ4「上下運動の歯みがきに慣らす」の2週間。
第7週目 ・・・・・・・・・・・・・・
歯を物理的にきれいにするための作業「歯みがき」です。味つき「歯ブラシ」で、まず正面右の上犬歯(犬の左上犬歯)から、上下に優しく触ってください。初めの2~3日間は上下運動だけです。犬歯4本のみに「歯みがき」をしてください。そのことを、動物が嫌がらなくなったら右上歯列から移動していってください。
初めは力を加えずにゆっくりと移動していってください。前の週の作業と同様の順序で行ってください。一回でブラッシングする時間は30秒間です。
5日目以降には、歯だけでなく歯肉にもソフトにブラッシングを加えてください。但し、歯の外側へのアプローチ、歯と歯肉だけです。歯の内側へのブラッシング・アプローチはステップ5です。まだ、2週間先です。もう少しガマンしてください。
第8週目 ・・・・・・・・・・・・・・
やっと本来の「歯みがき」です。今までは、今週の作業のための準備でした。おとなしく「歯みがき」を、させれるようになっていますか?もし、まだ不安定なら、いま少し準備のための時間を割いておきましょう。
一回のブラッシング(正面右上犬歯より奥歯へ進める)時間は、30秒間ぐらいから徐々に1分間へ伸ばしていきましょう。また、上下運動のみのブラッシングから、軽く横の動きを持ったブラッシングに変化させましょう。特に歯と歯肉の境目(歯肉溝)にも、45度の角度でブラッシングを行います。ゆっくりと進めていってください。
<秘訣3>仰向けにすると、楽にさわらせます!!
また、写真6のように、飼い主さんが床に足を投げ出して座り、犬猫を「ゴロニャンゴロ」と両ももの間に、仰向けに寝かせてから、唇を持ち上げて歯にタッチすると、前歯や奥歯へのアプローチがもっと楽になります。動物の体もより安定します。
<秘訣4>ブラッシングは外側が重要 !!
この、ステップ4をマスターするまでは絶対に「歯の内側へのブラシがけ」をしないようにしてください。歯石の付着傾向として、歯の外側と内側では「8対2ぐらいの比率」で、歯石は歯の外側の方へ多く付くと言う特徴があります。
そのために外側へのブラッシングが特に重要です。内側へのブラッシングは、外側への「歯みがき」をマスターしてからと言うことで、つまり後回しになります。犬猫とあなたに「歯みがき」をすることに、自信を持たせることが優先されるからです。
ステップ5「歯みがきを内側にも実施する」の2週間。
第9週目 ・・・・・・・・・・・・・・
ここでは、全体をシッカリ時間をかけて「歯みがき」をしてください。犬猫も「歯みがきを日々行う」と言うことに慣れていることでしょう。また、その報酬として、おやつを頂きお散歩にも行けることに妥協できたのです。
歯みがきの時間は1分×6箇所=6分間くらいが適当です。シッカリと口を開けさせて、歯の内側も磨きましょう。
第10週目 ・・・・・・・・・・・・・・
磨き方も、初めは押すように上下運動のブラッシング、そして少し横への動きでしたが、このステップでは円を描くようにやってみましょう。もう既に動物もあなたも安定したテクニックで、歯みがきができるようになっているはずです。動物を「横に寝かせる」か、「両太ももの間に挟んで仰向け」にして、「歯みがき」をするとうまくいくかもしれません。
<警告2>人用の歯みがき剤は、絶対に使うな !!
犬猫の歯みがきには、「人用の歯みがき剤」を絶対に使用しないで下さい。 「人用の歯みがき剤」に含まれているもので、犬猫には刺激性があって、害を及ぼす物質が多いので、絶対に使用しないで下さい。人用の歯みがき剤は、基本的に「口から吐き出す」事になっているものです。動物は口に入ったものは、基本的に飲み込む事になります。
さあ、あなたも今日からペットとの「歯みがき顔面体操」からはじめてみましょう。
楽しいですよう。あせらず、あわてず、2ヶ月間の準備運動です。3ヵ月後にはスッキリ、りクッキリ、息スッキリ、あなたのペットが白い歯を見せて、笑いかけるようになるかもしれません。 (オイ!!犬猫が笑うってか??)ま~、深く考えずに~、そういう夢を見た下さい。
がんばって!あの、オバマさんも言っております。イエス ウイ キャン! イエス にゃんワン! かた21! でっせ! と。(ホンマかいな?)